
前述の内容も踏まえ、インビザラインをおすすめしない人の特徴は次のようになります。
- 自己管理が苦手な人
- 職業的に装着時間が不足しやすい人
- 重度の不正歯列の人
- 骨格性の不正歯列の人
- 虫歯・歯周病がある人
- インプラントが入っている人
自己管理が苦手な人
インビザラインは、1日20〜22時間以上の装着ルール、食事毎の装置脱着と洗浄、歯磨きが必要です。これらを自己管理することが難しい人は、インビザラインに向いていない傾向にあります。
繰り返しですが、特に重要なのが装着時間です。食事と歯磨きの時以外は基本的に装着し続ける必要があり、外している時間が多いと歯が予定どおりに動きません。「数日だけなら」と思っていても積み重なることで次のステップの装置が適合しなくなり、治療期間が長期化することもあります。
また、食後の歯磨きや装置の清掃も欠かせません。忙しい日や外食が多い日でも、装着前に口の中を清潔にする習慣が必要です。こうした管理を負担に感じる方は、固定式のワイヤー矯正の方が継続しやすい場合があります。
職業的に装着時間が不足しやすい人
仕事の都合で装置を外す時間が長くなりやすい方は、インビザラインが合わない可能性があります。これは本人の意識とは関係なく、職業と治療方法の相性の問題です。
例えば、料理人や食品開発など試食が多い仕事、お酒を飲む機会が多い接客業の方がまず挙げられます。インビザラインは水以外の飲食時には装置を外すのが基本で、何かを口にした後は歯磨きと装置の洗浄が必要になります。言うまでもなく、手間が非常にかかるため相性が非常に悪い職種と言えます。
次に挙げられるのが、長時間の発声や細かい発音を求められる声優・アナウンサー・司会業・歌手などの方です。特に発音への影響が懸念されるため「今日は外しておこう」という日が続く可能性が高く、治療計画にズレが出やすい側面を持っています。
重度の不正歯列の人
歯並びの乱れが大きい方は、インビザラインにこだわらない方が良い場合もあります。
インビザラインは軽度〜中等度の歯並びであれば適応しやすい一方、抜歯を伴うような症例ではワイヤー矯正や併用治療の方が適していることがあります。
例えば、歯が複雑に重なり合っているケース、歯の捻じれが強いケース、抜歯をして大きく前歯を下げる必要があるケースでは、歯を動かす力のかけ方が複雑になります。インビザラインでも対応できる場合があるものの、こういったケースは医師の経験によって差が出やすい領域です。
なお、無理に非抜歯や部分矯正で進めると、前歯が押されて口元が出たり、噛み合わせが浅くなったりすることがあります。見た目を整えるつもりが、別の不満に繋がる可能性もあるため注意が必要です。
総じて、重度の不正歯列は複数の選択肢を比較することが大切です。ゆえにインビザライン、ワイヤー矯正、両者の併用、あらゆる方法を吟味・対応できる医院を選ぶと安全と言えます。
骨格性の不正歯列の人
骨格性の不正歯列は、インビザラインだけで改善するのが難しい症例です。
骨格性の不正歯列とは、生まれつき顎の骨の大きさや位置関係にズレがあり、それが不正歯列の原因になっている場合を指します。言うなれば、そもそも歯の土台がズレている状態であり、歯を動かしたり傾きを調整しても根本的な解決に至らないのがほとんどです。
このような骨格性の不正歯列を治療する場合、外科手術を伴う矯正治療が一般的です。また矯正に使う装置もワイヤー矯正が推奨されることが多く、結果を優先する場合はインビザラインにこだわらない方が良いでしょう。
虫歯・歯周病がある人
虫歯や歯周病がある状態では、インビザライン矯正を進めることはできません。
虫歯のまま矯正を始めると、途中で詰め物や被せ物の処置が必要になった時に歯の形が変わり、マウスピースが合わなくなることがあります。
歯周病の場合は、より慎重な判断が必要です。歯周病は歯茎や歯槽骨に影響する病気で、そのままの状態で歯を動かすと、歯茎が下がる、歯がぐらつく、噛み合わせが不安定になる等のリスクが高まります。
これらのリスクがあることを踏まえると、いくら歯並びを早く治したいと思っていても、虫歯や歯周病がある状態で急いで始めるのはおすすめできません。まずは現在の口腔内が矯正治療に適した状態かを確認し、必要な治療を済ませた上でインビザラインを検討しましょう。
インプラントが入っている人
インプラントが入っている方は、歯列矯正が困難になりやすい傾向にあります。
天然歯は骨代謝によって少しずつ動ごかすことができる一方、インプラントは顎の骨とボルトで結合されるため、天然歯のように動かすことはできません。
また、インプラントが矯正の治療範囲に干渉する場合、インプラントがストッパーのような働きをして、他の歯の移動を妨げることにもなります。
こうしたことからインプラントを基準に治療計画を立てる必要があるわけですが、当然ながら歯を動かせる範囲が制限されるのが一般的です。